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フィリピン  2010年11月5日（金曜日）
事業環境、順位またも下がる：ＡＳＥＡＮで下から２番目［経済］

世界銀行と同行グループ傘下の国際金融公社（ＩＦＣ）が４日発表した2011年版「ビジネス環境の現状」報告書で、フィリピンは183カ国・地域中148位となり、10年版の146位（修正後）から２ランク順位を下げた。フィリピンは10年版でも前年より順位を下げた経緯がある。調査対象外のミャンマーを除く東南アジア諸国連合（ＡＳＥＡＮ）加盟国中では、今回もラオス（171位）に次いで下から２番目。10ランク順位を上げたベトナム（78位）との格差が拡大した。

11年版「ビジネス環境の現状」で、全体の１位は今年もシンガポール。ＡＳＥＡＮ加盟国を除くアジア主要国・地域の順位は、◆香港＝２位◆韓国＝16位◆日本＝18位◆台湾＝33位◆中国本土＝79位◆インド＝134位――となった。

総合で２ランク下がったフィリピンの順位を項目別にみると、すべてランクダウンだった10年版と違って、一定の改善はみられた。「納税」は10年版（修正後、以下同じ）は133位だったが、11年版では124位と９ランクアップ。「貿易」も68位から61位と７ランク、「事業開始」も162位から156位へと６ランクそれぞれ上がった。

だが問題なのは「建設認可取得」。10年版の124位から、11年版では156位へと一気に32ランク順位を落としてしまった。同項目が全体の足を引っ張ったとみられる。

このほかの項目では「与信獲得」が３ランク、「投資家保護」が１ランクそれぞれ下がった。

ランクが急落した「建設認可取得」の評価項目は３項目あるが、「所要期間」は169日と、東アジア太平洋地域平均の167.2日、経済協力開発機構（ＯＥＣＤ）加盟国平均の166.3日とそれほど差はない。「手続き件数」は26件と、東アジア太平洋地域平均の18.7件、ＯＥＣＤ加盟国平均の15.8件よりやや多い。

非常に評価が厳しいのが「建設認可取得コスト対１人当たり国民所得」だ。東アジア太平洋地域平均は168.7％、ＯＥＣＤ加盟国平均は62.1％にとどまっているのに対し、フィリピンは778.5％と、１人当たり国民所得に比べて建設認可取得コストが著しく高いことが示されている。

■鮮明な越との差

順位を下げたフィリピンに対し、ベトナムは88位から78位に10ランク上げ、ＡＳＥＡＮ加盟国の中で突出した上昇をみせた。

ベトナムは項目別にみても、「納税」が146位から124位へと22ランクアップ。「与信獲得」が30位から15位へ15ランク、「事業開始」も114位から100位へと14ランク上がるなど、かなり著しい改善が目立つ。

競争力の国際ランクが低迷するフィリピンと改善が目覚ましいベトナムという構図は、ダボス会議を主宰する世界経済フォーラム（ＷＥＦ）が９月に発表した2010年版世界競争力報告と同じだ。同報告ではフィリピンは総合順位が139カ国・地域中85位と、09年版の133カ国・地域中87位から２ランクながらアップ。だがベトナムは、09年版の75位から59位へと16ランクも上げている。

ドミンゴ貿易産業相は２日の記者会見で、多くの国際競争力調査で下位に低迷している現状からフィリピンを脱却させ、中ぐらいの順位に引き上げていくという目標を掲げた。来年以降、順位の着実な改善がみられるかが注目される。