水分を取らないと、血液がドロドロに???「医療の極論、常識、非常識」


フィリピンの男子トイレって、汚い臭いから行きたくないので、、、

婦人用トイレもっと汚いし、、、

2016.06.28

新見正則「医療の極論、常識、非常識」

暑い夏、水を一日2リットル飲まないと危険?いや、逆に極力飲んではいけない?

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「Thinkstock」より

今回は、一日に水分をどれくらい取るべきか、というお題で盛り上がっています。“極論君”は「2リットルから3リットル、いやそれ以上に可能な限りたくさん水分を取ることが健康にいい」という主張です。一方で、“非常識君”は「水分はできる限り取らないことが実は健康にはいい」という論調です。確かに医者から水分を積極的に取れと言われている人もいれば、なるべく制限するように指導されている人もいます。そしてメディアの論調もいろいろです。
極論君は言います。

「水分を取らないと、血液がドロドロになって、そして血栓などができやすい。痛風発作も起こりやすい。そして過剰な水分は尿として、また汗として主に排出されるので、特段制限を設けずに水分を摂取することがいいはずだ」

一方で非常識君は言います。

「水分が体に溜まってむくんでしまう人はたくさんいる。そして水をほとんど飲まなくても何年も生きている人がいるとも聞いたことがある。だから水分は極力少なくていいのだ」

そこで、“常識君”がコメントします。

「水を取らなくても生きている人の多くは、実は水分を野菜や果物などから取っているのです。水分を一切口から取らないで人が生き続けることはありません」

アフリカ人の不思議

まず、人間の体の不要な物は、尿として体外に排出されます。また、肝臓で解毒されて胆汁という液体として小腸に排出され、便と一緒に外に出ます。胆汁は実は便に色を付けている体液です。胆汁が出なくなると便は白色になります。汗として水分やミネラルなども排出されています。

そして二酸化炭素は肺から排出されていて、呼気の中にも水蒸気が含まれているので、呼気からの水分排泄も無視できません。ちなみに犬は基本的に汗をかかないので、呼気から水蒸気を出すことで体温の上昇を防いでいます。つまり、消費される水、尿、汗、呼気、また胆汁などの消化液で便として排出される水分などを補わないと、カラカラになってしまうのです。

汗は体温を下げるために必要です。ですから、暑い地域に住んでいる人は汗からの水分排泄を少なくするような知恵があります。まず、少々体温があがっても汗をかきません。そして汗をかくときはじわーっと少量の汗をかきます

アフリカなどのドキュメンタリーを見ていると、撮影クルーはペットボトルを常備し水分補給を常時しているのに、現地の人たちは水も飲まず、肉眼でわかるほどの汗もかかず、ほぼ丸一日屋外で作業することも可能です。ラクダはそんな機能を備えています。少量の尿で不要物を排泄できます。そして相当な高体温でも汗をかかず、一度にたくさんの水を飲むことも可能です。そんな条件があるからこそ、砂漠の行軍が可能になります。

少々多めに水分をとるべき?

さて、人間のお話に戻りましょう。必要最小限の水分補給は必要です。一方で、心臓や腎臓が悪ければ、過剰な水分を即座に尿として体外に排泄できません。ですから、体がむくむのです。心臓と腎臓が元気であれば、摂取した水は主に尿として排泄されますから、それほどの害にはなりません。水分だけを補給するとミネラルが薄くなって、そして水中毒といった状態になることもありますがごくまれです。

常識君がまとめます。

「人はいろいろです。健康であれば、適当な水分量で十分です。不要な水分は尿として出ます。水分不足であれば喉が渇きます。喉が渇いているのに水分補給をしないと、この時期は熱中症などになります。つまり、心臓と腎臓が悪くなければ、そして水分を飲もうかどうしようかと悩むなら、いっそ少々水分を多めに取ることが問題ない対処と思われます」

一方で、心房細動という心臓の病気があります。これは心房が正常に収縮しないで、震えている状態のことです。そんな血液の流れがあまりない心房内には血の塊(血栓)ができやすいのです。ですから、脱水になると血栓の形成を助長するので、心房細動の人には水分の摂取を勧める先生が多いのです。心臓の病気なのに水分を取ったほうが安全なのです。

悩めば主治医に相談しましょう。そして内服するような病気がない人、心臓も腎臓も悪くない人であれば、少々多めに水分をとっていいと思います。常識君の「人はいろいろ」という主張が何より大切で、そのなかには極論君が主張するように水分を比較的多めに取った方がいい人もいるでしょうし、非常識君が言うように水分を極力控えたほうがいい人もいます。
(文=新見正則/医学博士、医師)

●新見正則(にいみ・まさのり)
1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

http://biz-journal.jp/2016/06/post_15663.html

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