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振り込み 大手は夜間も 全銀協、18年に「午後6時まで」軸

木曜日, 12月 18th, 2014

2014/12/18 23:36日本経済新聞 電子版

全国銀行協会は18日、他行の口座に振り込みができる時間帯を2018年から拡大すると正式に決めた。平日の場合、現在は午前9時から午後3時までだが、夜にかけて新たな共通稼働時間を設ける。各行はまず午後6時まで延長する方向で調整するが、3メガ銀行は午後9時など土日を含めてもう一段の拡大を検討する。インターネット通販の即時決済や急な送金が可能になり、企業も資金繰りがしやすくなる。

振込時間は1973年以降、40年強にわたって午後3時までで、手形決済など商慣行の大元となってきた。英国やシンガポールの銀行は振り込みが24時間可能で、世界的に送金時間の拡大の流れが強まっている。政府も6月にまとめた成長戦略に振込時間の延長など決済インフラの高度化を盛り込み、銀行界でも具体策を議論してきた。

銀行間の振り込みは全国の金融機関をつなぐ「全銀システム」を使い、現在は平日の午後3時をすぎると、原則として相手口座に着金するのは翌営業日になる。全銀協は18年をメドに平日夜間や土日も含めて24時間稼働する新システムをつくって改善する。

利用者の振込時間をどこまで延長するかは各行の判断に委ねるが、全銀協は18日に「一定の時間帯は加盟銀行が共通して拡大する」と決めた。利用者の要望が多い午後6時までの延長を軸に、来年にも統一基準をつくって各行に導入を促す。

全銀協の平野信行会長(三菱東京UFJ銀行頭取)は18日の記者会見で「より多くの加盟行に土日祝日も含めて延長してほしい」と表明した。自行については「英国などの大手行が24時間サービスを実現していることを念頭に前向きに検討する」と述べた。3メガ銀行は午後9時や午前0時など大幅な延長を検討しており、来年にも一定の方向性を出す考えだ。

ソニー銀行やジャパンネット銀行などネット専業銀行は24時間化に踏み切ることも検討している。ただ24時間化には各行ともシステム対応に10億円ほどの投資が必要とされ慎重な銀行も多い。地銀64行は少なくとも平日午後6時まで延長する方針で足並みをそろえるが、24時間化は決めていない。第二地銀41行も延長時間は今後決める。

振込時間が拡大すると、個人や企業に利点がある。急病などで資金が必要になった際に、遠隔地でも送金できるようになるほか、ネット通販などの振り込みが素早くできるようになってより早く商品を受け取ることができる。土日の振り込みを利用すれば、流通業やサービス業は取引先と週末でも資金決済がスムーズにできるようになる。

課題は全銀行で足並みがそろうかだ。大手が午後9時で地銀が同6時とばらつきがあれば、利用者は着金がいつになるか分かりにくい。多くの銀行は午後3時に店頭窓口を閉めるが、振込時間の拡大に合わせて窓口営業の延長を求める声が強まることも考えられる。

りそなホールディングスは来年4月から、自行の口座間やグループ銀行間の振り込みを24時間化する。利用者獲得へ独自サービスを打ち出す銀行が増える可能性もある。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC18H0X_Y4A211C1EA1000/